靖国神社の意味とは?

小泉首相はじめ自民党の方々は靖国神社への参拝が個人の信条だとか言うけど、相手国の人がいやがっていることを無理に貫くからにはそれなりの説明が欲しいです。

中国側の説明によると胡主席は「現在の中日政治関係で出現している困難は、日本の指導者が靖国神社に参拝していることだ」と述べ、首相の参拝中止を求めた


前にも紹介した本ですが梅原猛という学者が[梅原猛の授業 仏教(前に書評を書いています→http://d.hatena.ne.jp/doctorbird/20041102#1099411879]という本のなかで、こんなことを書いています。
「明治神道明治神宮靖国神社によって代表されます。明治神宮には明治天皇が、靖国神社には明治維新以来、国のために死んだ人が祀られている。しかし、日本古来の神道はえらい人を祀るということはありえないんです。」p.220


日本古来の神道では、
「世の中を恨んでいる人が神さまに祀られている。それは彼らが怨霊だからです。世の中を恨んでたたりをなすから、その魂を沈めるために祀られているのです。」p.221

その具体例として、京都の八坂神社でおこなわれている祇園祭をあげています。
この祭りは皇位継承のトラブルで殺された「早良皇太子をはじめ、歴代の怨霊になった皇族や貴族のたたりを鎮めるための祭り」であると書いてあります。


うーん、なるほど。と思いました。たしかに古来は疫病や飢饉が怖くて宗教が広まったんだと思うんですよ。さらに、そういった自然災害はたたりのせいだと思って、鎮魂の碑を建てたり、祭りをするという感情はすんなり理解できます。


梅原さんの意見は、さらに論をすすめて
「明治以後、神道がおかしくなって天皇そのものを崇拝するようになった。そして、国のために死んだ人だけを靖国に祀る。戦争を始めた戦犯の東条(英機)さんまで祀る。これは日本の神道の精神と違うんです。中国や韓国の、被害を受けた人を祀るのが日本の神道の精神ですが、靖国は違う。小泉さんはそういうことをよく分かっとらん。」p.222


「中国や韓国の、被害を受けた人を祀るのが日本の神道の精神です」とは、過激な意見のように聞こえますが、「日本古来の神道と明治神道の祀る対象の違い」を説明した上での結論です。


小泉首相も参拝するからには個人的信条の説明をしてもらいたい。個人の考えすべてを国民に伝える必要はないです。しかし、他国の人に明確に「感情を害する」と指摘されている個人的信条については、その合理的根拠を示さなければ日本国の代表としてはふさわしくないと思います。

そんな人は選挙で通さないようにするのが国民の義務なのでしょうけど。


梅原猛の授業 仏教