立ち止まると殺されることくらいありそうな気がする

内容
中学生が命をかけてひたすら歩く話。参加者は立ち止まると政府に射殺されるというルールの歩け歩け大会。バトルロワイヤルの元ネタになったといわれているらしい。バトルロワイヤルの映画版は残虐表現で話題になったけど私は見ていません。


感想
設定はおそらく近未来だけど、小説中の社会背景の詳しい説明はない。とにかく、子供が死の歩け歩け大会に参加していて、歩き続ける。そして、立ち止まった人はルールに従って次々に殺されていく。


その過程で友情を感じさせる話があったりもする。自分も死ぬかもしれないのに、友達を助けるということは、おそらくあり得る気がします。こういう極限での人間心理については、以前に読んだ強制収容所の実話(「夜と霧」書評は04年10月24日の日記→http://d.hatena.ne.jp/doctorbird/20041024#1098548422)に書いてあった、「極限状態でも人間は英雄的行動をとる人がいる」という話を思い出しました。


子供を射殺する描写とかは妙に残虐。立ち止まると殺される政府主催ウォーキング大会という設定も無茶苦茶な話のようで、あり得る気もします。
でもね、ユダヤ強制収容所を書いた「夜と霧」は実話なんですよ。そして、もっと残虐で無茶苦茶です。そういう思いがあったせいか、あまり話に引き込まれることはありませんでした。



心に残った言葉
棒高跳びを一生懸命練習して、いざオリンピックに出場したとき、「いったい何のためにあのばかげた棒を飛び越えなきゃならないんだ?」っていうのと同じだ」p.339