普通お坊さんのお話を難しくした感じ

私だけの仏教 あなただけの仏教入門 (講談社+α新書)

私だけの仏教 あなただけの仏教入門 (講談社+α新書)

内容
特に日本仏教の仏教(十三宗)の成立と違いについて説明した入門書。なぜか、「バイキング」(食べ放題のことね)にたとえて説明しています。巻末に日本仏教の成立史年表つき。

感想
日本のお坊さんの説法を聞いている印象。お葬式の時とかに聞く話よりは専門的で難しいが、宮坂有洪(真釈般若心経の感想→http://d.hatena.ne.jp/doctorbird/20040830#1093878516)さんほど緻密な論理ではない。論理よりも、たとえ話で気持ちに訴えるということが基本方針。

読んでいても主張に一貫性がないです。例えば、


「将来きっといいことがあると思って、特定の努力をする、というのは今という時間への冒涜である。今味わう楽しみ以外に今行うことの結果を期待しない、というのが遊びの本質だろう。我が宗の白隠禅師はそれを「因果一如」と謂い、道元禅師などは「修証一等」と謂う。」p.61


と目標を持っての努力・修行を否定していますが、その少し後では、

「ただ現代に生きる我々だから、(中略)あくまでもそうした仏像に象徴される技術や力・特性を習得するために祀ってほしいと思う。すがる相手ではなく、それらは辿り着くべき目標なのである。」p.75


と目標を持って技術の習得にはげみなさい。といっています。
いったい、著者の主張はなんなんだ!?と投げ出したくなります。最後の方にある


「「意味」というのも考えてみればロジックという形ある「色」である。思い切って無意味の世界の海、いや「空」に泳ぎ出すことをお勧めする次第である」p.182


という文章を読んで、本をぶん投げたくなりました少しは著者の気持ちがわかりました。つまりは、あんまり理屈っぽいのはやめようよっという感じですね。
それもまた近所のお坊さん風です。


テーマを「日本仏教の成立史と相違」か「玄侑宗久の仏教」のどちらかに絞って欲しかった。