これが自己啓発・能力開発法の原典か!?

式場博士の脳力集中・休養法12講 (角川oneテーマ21)

式場博士の脳力集中・休養法12講 (角川oneテーマ21)

内容
式場隆三郎という精神科医が書いた仕事術・勉強法の本で、1950年に刊行された「能力集中法と休養法12講」を改題、再構成したもの。式場博士は裸の大将、山下清を見いだした先生とかでその昔はとても有名だったそうです。内容は集中の仕方、良い睡眠法、読書法、記憶力向上法などなど盛りだくさん。


感想
  この本のタイトルと目次を読むと、「なーんだ、書店によく売っている能力開発、自己啓発本か」と思ってしまいます。しかし、元本の刊行が1950年!!という点が違います。そんな昔の本なのに「右脳を発達させる左体操」とか現代でも売れそうな章があります。文体の簡潔さも、自己啓発本に似ている気がします。
つまり、この本が現在の書店に並ぶ「能力開発・自己啓発系」の源流ではないかとおもわれます。原典だけに一つずつの内容がとても濃いです。この本の1章分が、齋藤孝の本1冊分くらいですかね。
  ちょっと変な視点からの感想でしたが、内容はごく常識的?(非科学的ではない)で良いですよ。例えば、集中法の秘訣は「仕事をやりはじめること」というのも、著者は作業興奮という理論を知って述べていると思われます。
  せっかくの式場体操は図と説明文だけではわかりにくいのは残念。


  心に残った一言「こうしてはじめた仕事は三十分つづけると働く喜びがでてくる。この習慣が二、三週間つづけば、働こうという欲望が起きてくる。仕事をしないでいられなくなる。一見おおげさに思えるが、ばからしいほど簡単な方法である。あまりに簡単すぎるので、逆に試そうという人は少ない。」p.76