マジメな生の英語を読む

The Expanding Universe of English→amazon
ISBN:4130821121, 著者:東京大学教養学部英語部会編, 出版年:2000,


内容と感想
 様々な分野の本から集めた”英語のエッセイ”の本です。この”英語のエッセイ”というのは、日本語でいう小論文の様なものです。インターネットを使えば、生の英語を読むことは簡単です。でも、この本のようなフォーマル(?)で構成ができている生の英語は洋書で一冊の本を買う以外には、なかなか手に入りません。
 英語の多読をしていた時に買いましたが、読み終えていません。タイトルなどから判断しておもしろそうだと思ったトピック(本全体の1/3くらい、そのうち全部読もうかな。。)は読みました。Clarkeの「The light of common day」は何を言いたいのか良くわからなかったです。Jourdain の「The Pleasure of Music」とRamachandran and Blakesleeの「Why do we laugh?」はおもしろかったです。
 
 Ramachandran and Blakesleeの仮説は、笑うことの目的は周りの仲間に「さっきまで感じていた危険や緊張は間違いだったことを示すための信号」だというもの。例えば、何万年か前に人類が他の動物に襲われていた時は、「ライオンが来たよ」と遠吠えで知らしたり、「ライオンが行ったよ」と危険解除信号を出したりしていたりしたはずです。この危険を解除する信号(仲間に声で知らせる)がアハハという笑い声の元?ではないかとのことです。
 例えば、昔のドリフのコントを例にすると
チョーさんが爆弾を持っている
   →見ている人は、危険だ。もしかしたら死ぬかもと思う。
爆弾が爆発したが、髪の毛だけ爆発した姿になる
   →見ている人は、危険ではなかったと認識する。
という感じでしょうか。
 仮に爆弾が爆発して、体がバラバラになったら誰も笑わないですね。髪の毛だけ爆発を見て、アハハと声をあげて笑うのは、「爆弾は大丈夫だった、危険信号は間違いだよ。」と周りの人間に教えている危険解除の鳴き声みたいなものだということです(解釈違うかも。。)。
良い点

  • 広い分野から選ばれた、堅い内容の「生の英語」を読める
  • 興味が持てそうだとおもって、読んだエッセイについては内容もおもしろい

悪い点

  • 興味が持てない分野のエッセイに関しては、日本語でも読む気がしない。
  • キーワードの解説(Notes)内容が雑で不十分。
  • Notesに説明があるキーワードは脚注マークなどで示して欲しい。
  • CDはいまいち。なんか発音というか読み方がきれいじゃない。
    • 少し関連がある本(□奥田, 2002)。現代的な悩みを抱えた患者に対してイラブ先生は「そんな悩み大したことじゃない」とメチャクチャなやり方で伝えます。この患者の緊張感と医者の気楽さのギャップが笑いを誘う気がするんですよね。この小説の笑いで、上に書いてある「笑うとは危険がなくなったことを伝える信号だ」という説を思い出しました。